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坂を見下ろすと、やれやれと門から身を起こす少年と、小走りで近づいて行く少女の姿が見えた。
少年が悪態をついたのか、ぶんっとふざけて手を振り上げる少女。
じゃれ合うように坂を降りていく後ろ姿を眺めながら、自分が思わず深い溜息をついていたことに気が付いた。
「人には偉そうな事を言っておきながら、
自分のことは、どうにもうまくいきませんね」
もちろん独り言だ。
でも、うっかりしていた。
器たちに、聞かれていた。
to be continued…
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