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その日、僕が家の外に出たのが運の尽きだった。
気がつくと見知らぬ部屋にいた、あの時と同じだ、あの時はたしかこのあと部屋の外に出るとすでに広間に全員が集まっていたはずだ。
僕は扉を開き部屋の外に出る、するとそこは前回とは違い廊下になっていた。
長い長い廊下だ、遥か前方には扉が見える。
「行くか…」
僕は一歩前に踏み出す、また一歩、また一歩、とゆっくりと歩みを進めていく。
そして廊下の中頃まで来た。
「何か罠があると思ってたけど……無さそうだな」
そしてまた一歩踏み出した瞬間、何かが動く気配がして足を引っ込め一歩下がる。
すると、ガシャンという音と共に、目の前にギロチンが落ちてきた。
このまま歩みを進めていれば確実に真っ二つに裂かれていただろう。
「本気で殺しにかかってきてる……」
そう考えた時、絶叫と肉の裂ける音が聞こえた。
すぐ隣から聞こえてきたことから隣の廊下でも同じことをやっており、1人ギロチンの餌食になったのであろう。
「冗談きついぜ…」
背筋に冷たいものを感じながら前に進もうとするが、足が言うことを聞かない、動かない。
「ど、どうしたんだよ、僕の足……動けよ……」
足は震えるばかりで動かない、先程の絶叫が、肉の千切れ、裂ける音が脳内で鮮明に再生される。
怖い、とてつもなく怖く、とてつもなく不安だ。
「…サクリファイス……犠牲……」
僕はこんなところで死ぬわけにはいかない、みんな不安の中死んでいったんだ、僕はその敵を討たなければならない。
「ちくしょう!やってやるよ!馬鹿野郎!」
僕は一歩ずつ、歩み始めた。
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