再開のデスゲーム

7/9
前へ
/11ページ
次へ
目の前の鉄骨は、私を地獄へと導くように延びていた。 鉄骨の先には、人影が見える。 「渡れってこと…?」 鉄骨の下は暗闇になっており何も見えない。 目に見えないものほど怖いものはない。 「扉は閉まってるわね…」 後ろの扉は鍵が掛かっている。 もう戻れないということだろう。 再び鉄骨の先に目を移した時、ノイズ混じりの声が聞こえてきた。 「ようこそ、サクリファイスへ。私はこの実験を担当している者だ」 この声には聞き覚えがある。 前回のサクリファイスで私達を散々苦しめた声だ。 性別は男、よく聞くような声のため特定はできないだろう。 「今、君達の目の前には鉄骨が延びているはずだ。 君達にはその鉄骨を渡ってもらう。 ただし、渡りきれるのは各鉄骨につき1人だ。 どちらかはここで相手の犠牲になる必要がある」 「そんな…」 今回も相手を犠牲にする殺人ゲームをしなければいけないようだ。 しかも、直接的な殺し合いを。 「君達の左側を見てほしい、そこにある箱を開けるとマスターキーが入ってる。 ただし、自分の仲間の部屋を開けるためのマスターキーは相手側の箱に入れられている。 次に右側を見てほしい。 そこには鉄パイプが入っている。 素手で落とし合うのは両方落ちてしまう危険性がある。 それを防ぐために用意した。 殴るなり、突くなりに使うといい。 制限時間は一時間。 それではスタートだ」 ノイズ混じりの声が聞こえなくなると同時に右の箱が開いた。 そこにはたしかに大量の鉄パイプが入っていた。 私はその中から二本を取り出し、鉄骨を見た。 あの声は 「どちらかが相手の犠牲になる必要がある」 と言っていた。 つまり、下に落ちるということは死ぬということだろう。 「それでも…私はやらなきゃ…」 私は皆を助けるために、そのために殺らなければいけないんだ。 自分にそう言い聞かせるように鉄骨に足を乗せた。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加