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あれは奏子が小さい頃に大好きだったおばあちゃんにもらった唯一のものだった。しかも、たとえなくしたとしても、必ず戻ってくるという不思議なキーホルダーだった。おっちょこちょいな奏子のことなので何度も落としているが、今まで返って来なかったことはない。だから、今回も奏子は返ってくるだろうと思っている。
「それは、残念だったね。それよりも傘を盗むなんてありえない。自分の傘を使えっての。人のものを盗るなんて、最低だね。」
そういいながら、机においてあったペットボトルのお茶を飲むハルちゃん。本当に残念とも思っていない様子で、傘泥棒に対して怒っている。
「仕方ないから、また買うよ。あ、先生来たよ。」
そう言いながら、奏子は今日は不運な日になりそうと考えていた。
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