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頭がガンガンする。なんでだっけ?
そんなことを考えながら、寝返りを打つ。ここ気持ちいい。今まで泊まったホテルのベッドより気持ちいい。ふかふか。こんなところに寝れるなんて、今日の不幸も帳消しかな。
「目が覚めましたか」
まだ寝ててもいいじゃない。気持ちよく寝てるんだから。
「すみません、そろそろ日がおちますけど。」
ん。あら?この声、聞いたことあるような……
「まずいよな。こんな時間に女の子がベッドにいるなんて」
「にゃ~」「にゃ~」「にゃ~」
ねこ。ネコ。猫。
「あっ」
猫達の飼い主さん。と気づいて奏子は飛び起きた。が、ひどい頭痛と、視界が揺れてすぐに倒れた。
「あ、すぐに起き上がらないでください。多分熱中症で倒れたんですから。」
少し心配そうな低い声が聞こえた。うっすらと目を開けてみるとぼんやりと黒髪と白い服が見えた。あの道で熱中症になって倒れたとしたら、この人に大変な迷惑をかけたにちがいない。そう考えた奏子はとりあえず、謝らなければと考えて口を開いた。
「すみ」
「謝らなくていいですけど、帰りは大丈夫ですか?」
男は謝ろうとした奏子の声に被せるように口を開いた。その言葉に反応して部屋を見渡し、白枠の窓を見ると日は落ちて真っ暗であり、しかもここがどこなのかわからない。奏子は暗くなった外をぼんやりと見つめて、絶叫した。
「うそでしょ。ここどこ。」
「えっと、慌てないでください。」
「ここどこですかっ。いま何時くらいっ。」
「お、落ち着いて。ここは俺の家で、今は8時だ。」
お、男の人の家。8時。まずい。
「帰らなきゃ」
帰らなきゃ。8時はもう暗いし、男の人の家に夜にいるなんて、危ない。奏子はそう考えて、どうにか頭痛を堪えるとベッドを出ようとした。しかし、いきなり立ち上がって歩こうとしても歩ける訳がない。立ち上がったまではよかったのだが、ふらついて前に倒れた。最近転んだりしてないため、手が出ない。
「あっ」
トンっ
「こんな状態じゃ、歩けないな。大丈夫?」
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