雨と月のない空に

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久しぶりにまとまった雨の一日になった。 昔は雨は好きだった。 だけど今は雨が嫌いだ。 気持ちを陰鬱なものにさせてくれる。 これでよかったのか? このままでいいのか? 閉塞感に不安。 そんなネガティブな思いに拍車をかける。 しかし雨は自然にとっては大切なもので人の手により変えられないもの。 自然を、今のまま受け入れるしかない。 また、止まない雨もない。雨はいつか止んで、陽がのぞき青空が広がる。 雨があるからお日様が恋しくなる。 日照りが続くと雨が恋しくなる。 きっと人生も同じ。 自然と同じように流れに身を委ね抗う事なく自分らしく自然に今を楽しんでいれば辛くはないのだと思う。 人生も晴れの日ばかりじゃない。 降り続く雨の中、心から自分を解放できる青空が広がる時が待ち遠しい。 自分がどうしようもできない流れや力が働いている時に、それでも諦めず信じながらその時を待つ。 月の無い空の日と雨の始まりの日。 自分はどこに流されどこへ向かうのだろう。 相変わらず空っぽな心の自分を雨音が包み込む。きっと内に向かい収縮された自分はいつかビッグバンを起こし、新しい宇宙を、新しい自分を、新しいスタートを切る。 月の無い空に願う。 宇宙の真実を見つける事と運命の人との出会いと生きる意味・使命に気付く事を。 自分の最奥、その核へ。 雨の日も変わらず 今日も変わらず 時は過ぎていく。 振り返った道に刺さる杭の数を数えてもそれはもう抜くことなどできない因果。 旅の終わりに杭は楔となって道に刻まれ次の自分を因縁へと導くだろう。 月のない空に 月の代わりに雨にやさしく包まれながら青空を待つ。 雨に打たれる杭の音に気付いて振り向く事がない日が訪れることを。 雨は嫌いだ。 それでもネガティブな思いも自分と認め、愛さねばならない。 ポジティブが悲しむから。
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