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「質問があるんだけど、これ君の親?」
その男は信じられないほどの冷たい声で質問をしてきた。
顔は無表情だった。
しかし、どう考えてもその男は笑っていた。
オモチャを買ってもらった子供のようにはしゃいでいるようにも見えた。
「…もしもし?」
「あ、はい、なんでしょう?」
早く返答しろと聞こえた。
その冷たい眼差しはぼくを見ずに親だったものに向けられていた。
「聞いてなかった?これは親なのかと聞いたんだ」
これ?
その言葉に怒りを感じた。
だから警察は嫌いなんだ。
事件の事しか考えていない。
人の事なんか目もくれないのだ。
「言わなきゃ…ダメですか?」
喧嘩口調で買ってやる。
男は少し不快な顔を見せたがすぐに無表情になり、ぼくに近づいてきた。
やばっ
言い過ぎたか?
男がそっとぼくの首に手を当てた。
「なにを…するつもりですか?」
近くに警官はいない。
つまり誰も助けてくれないと言うことだ。
男はニヤリと笑った。
バカにされている気分だ。
何がおかしい。
「なにもしないよ。ただ羨ましいんだ
君ミタイナ人間ガ」
…!?
ゾッとした。
なんだ!?この威圧感は!?
足の震えが止まらない。
その反応を見た男は首を軽く撫でて離れる。
「それに…するのは君だろ?」
なにを言っているんだ!?
男はそう告げるとパトカーに載りそそくさと走っていった。
以上が自殺する理由だ。
「そうか…あいつがいっていたするって言うのは自殺ってことなのか…」
なんか違うと思ったが今から死ぬ人間には関係無い。
ちなみに俺の家は地域の人と一切関わりを持たない。
だから俺がここで死んでも気づかれるのはだいぶ後になる。
つまり、外界とはシャットアウトしてるのだ。
「最後に…見たかったな…あいつの顔」
死ぬのが怖いとは思わなかった。
一瞬で終わるのだから。
俺は自分の首に一振りのナイフを当てた。
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