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母さんが用意してくれたのは、特製ミックスジュースだった。
めちゃくちゃ旨いんだ、これが。
アル「レイカ、あなたのこれはいつも美味しいね。一度、私達2人で同じ材料を使って作ってみたのだけれど、こうも上手くはいかなかったな」
王自ら何やってんだ(^-^;
ジル「配合……?」
レイカ「秘密です」
え、秘密なの?
俺も知らないんだけど。
レイカ「その代わり、いつでもお作りしますよ」
ジル「ん」
ジルがふわりと笑う。
普段あまり表情が変わらないだけに、なんか癒されるね。
アル「ねぇ、レン」
ふと真面目な顔になったアル。
アル「君たちの旅は、とても危険なものだよね」
まぁこんだけいろんなことで迷惑かけてたらそう思うわよな。
アル「ユイもまだ目が覚めないし、レンもまる1日眠っていたよね。心配したんだよ?」
レン「うん。悪かったとは思ってるよ」
反省はしてる。
アル「……でもやめる気はないんだ?」
レン「ユイがやるって言ってる間は、俺は着いて行く」
それはこれからずっと変わらないだろう。
ユイがつぶれないように、俺が半分背負ってやると約束したから。
レイカ「お止めするのも正しき主従の在り方よ」
レン「うーん。俺、主従とは思ってないんだよな。アルにしてもジルにしてもそうだけど」
そう言ったらみるみるうちに母さんの眉がつり上がる。
レイカ「なんてことを言うの!」
アル「レイカ、構わないよ。私達もレンを従者だとは考えていない。それはあなたもだよ」
母さんを宥めたアルは再び俺へと向き直った。
アル「私達もいろいろ考えたんだ。止めるべきか見守るべきか……。それでね、決めたんだよ。2人が死ななければそれでいいって。ユイもレンも籠の鳥なんて似合わないし、そもそも私達に止められる術もないしね」
そっくりな顔が並んで優しい視線を送ってくれる。
ジル「生きて、帰ってこい」
アル「ユイをよろしく」
レイカ「しっかりやってきなさい」
あぁ、だからこの場所は居心地がいい。
手は簡単に離してくれるのに、いつでも両手を広げて待っていてくれる。
応えられるかは、未知数だけれど。
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