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ザワ、と周囲が沸いた。
俺達は周囲の喧噪には興味がないので、受付にあれやこれやと質問していたのだが……
その受付も視線が定まらず恍惚の表情を浮かべて使い物にならなくなった。
レン「おーい、お姉さーん?」
ユイ「無駄だ」
何かが後ろにいる。
もう、すぐそこに。
?「こんにちは。見ない顔だね?」
レン「っ!?」
バッ、とレンが振り返った。
ユイ「うー?」
俺はのんびりと振り返って小首を傾げる。
ユイ「れーにぃ、どうしたのー?」
レンを見上げて俺は言った。
?「ほう、キミはレーニィと言うのかい?」
振り返った先にいたのは、白銀の髪を長く伸ばした男性。
アイスブルーの瞳をおもしろそうに細めているが、目の奥が全然笑ってない。
レン「……いえ、レイと申します」
?「ふーん。ガレイドのカードだね。レイ……と、あれ?キミもカードを持ってるんだね」
後ろからカウンターをのぞき込んだ彼は、提示していた俺のカードを持ち上げる。
?「ユエ?珍しい名だな。ガレイド特有のものかい?」
レン「いえ……古代の文献で、月のことをそう記していたので」
?「へぇ、月か。そうか、キミは古代の文献が読めるんだね。素晴らしい。そうだ、キミ達を我が家に招待しよう!」
なんか変な方向に話が行ってないか?
手なんか叩いて、良いことでも思いついたような。
レン『コイツ、聖王だ』
だよなー。
レン『俺が思考を読めないってことは、俺より強い……』
?「ん?どうしたのかな?」
この笑顔、すんげーイヤ。
レン「いえ、私達がお邪魔するわけには……」
?「あぁ、気にする必要はない。私が話を聞きたいだけだ。私は生まれてこのかた、この国を出たことがないのでね」
めんどーなことになりそうじゃん?
?「ほらほら行くよー。はい強制転移ー」
レン・ユイ「なっ!?」
視界がぐにゃりと歪んだ後、すぐに豪勢な内装の建物の中にいた。
レン「ここは……?」
?「おっと、自己紹介が遅れたね。私はフィリアス・シンディアと言う。ここはシンディア城だ」
でーすーよーねー
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