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マルクス「しかし……噂になるのは避けられませんよ?」
ユイ「いーよ、別に。むしろ願ったりかなったりさ。どーせ、飛び級したことで目ぇつけられるんじゃね?生意気だとかいって」
そんなんいちいち取り合ってたらやってられんよ。
マルクス「かしこまりました。では、そのようにいたしましょう。ただ……アルベール様・ジルベール様のお二人から、ユイ様が立ち寄られた際には様子を知らせよというご命令を賜っておりますので、ご報告させていただくことになります」
たぶん、各国の密偵にそう言ってんだろーな。
ユイ「まぁいーよ。報告されて困ることじゃないし」
マルクス「そうですか。ありがとうございます。では、本日はこれにて失礼いたします。また明後日お会いしましょう」
そうしてマルクスは転移していった。
レン「あの人……すごいな」
ほう、最近用心深くなってきたレンがあっさりと信じたな。
レン「だってあの人、俺に信用させるために多すぎる魔力を抑えてた。封印具も使わずにな。そんなんできんの、俺はユイしか知らない」
コントロールしてんじゃなくて抑えてたのか。
そりゃ確かに難しいわ。
レン「それに、あの人の心はすごく優しいものでできてる」
職業は密偵なのにな。
レン「元の学園長……も密偵だったみたいなんだけど、マルクスさんがこの国に来た頃に死んでるらしい。マルクスさんがその特異性を生かして跡を継いでるんだってさ」
そりゃ、長くいればいるほど信頼関係は作りやすいし引き継げるもんなら引き継いだ方がやりやすいだろーけど……
レン「家族には死んだって伝えられなくて、記憶もあるもんだから家族としての接し方もできてしまって、騙してることをずっと後悔してて、それなのに誰も恨んでない」
聖人様みてーだな。
すげー。
レン「あの人、本当に尊敬する」
キラキラしちゃってるレンでした。
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