第94話【そうだった】

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 それが二つの手、二つの足、一つの頭を象った瞬間、足元から火が噴き出し、火柱になって空に伸びる。 『メビウス・シティには空はないのではないかノ?』  そこ、突っ込むとこ!?  燃え上がった土塊人形。  それには見覚えがある。  強度を増したゴーレム。  こんなことが出来るのは……。 「【永久の久遠】……」  厳つい顔の男が呟いた言葉が全て。  いつの間にかその男はそこにいた。  全身を黒の衣服で包み込み、鋭い視線で、正面を見据えながら、ニヤリと笑う。 「【炎剣】……」  小さく呟いた瞬間、右手と左手、それぞれに握った短めの剣から炎が噴き出す。  そうだった、そうだった……。  俺は今更ながらに思い出していた。
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