第1話【好きか嫌いかの話】

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 そう出来てしまう力もあるし、周りにそれを認めさせちゃう不思議な魅力もある。  ……とにかく、そういうやつだ。  周回遅れの俺を追い抜いていく時、理沙は目だけを動かし、視線だけで、俺の顔をチラ見していった。 『もう、へたばったの?』  表情がそういってる。  ……へたばってますけど、何か?  そりゃ、中学時代をソフトボールに捧げた理沙と、全開バリバリ帰宅部だった俺とじゃ基礎体力に差があるのは当たり前だ。  ……何が悲しくて、高校生になって運動部みたいなことをしなきゃならんのか。  と、嘆いてみても、始まらない。
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