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オレの鼓動はこんなにも早く高鳴っているのにお前はやっぱり澄ました顔なんだな。
黒髪を撫でながら龍之介はゆっくりと俺を見上げる。
あれから5年の年月が経つが、龍之介はあの時となにも変わっていない。
その事に多少嬉しくもあり悲しくもある。
『……ここじゃ何だから場所変えよう』
飲みかけのコーヒーを飲み干し龍之介は席を立った。
下に落とした買い物袋を拾い上げオレはその後に続いた。
おそらく、買った卵は割れているだろう。
喫茶店を出て何処に行くのかと思うと俺の家の場所を聞いてきた。
変わってないとぶっきらぼうに答えるとそうかと短く返し、俺の持つ荷物半分を取った。
呆気にとられる俺に苦笑いを浮かべる。
『早くしろよ』
龍之介に急かされてオレは急いで歩いた。
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