彼女と子猫

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願わくば、この幸せな毎日がいつまでも続きますように…。 「ンナァ~」 虹の掛かった空に、仔猫があの日のように一鳴きする。 虹はやがて、ゆっくと青空へ溶けていった。 ―*―*― そうしていくつもの月日が流れ、僕と雪はいつの間にか寄り添う存在になっていた。 最初と比べると、互いに互いを思い合っているのが目に見えてわかる。 雪は僕の帰りを待つようになり、僕は雪の笑顔を見るのを心待ちにするようになった。 互いに知らないことは多くあっても、必要としていることはわかり、言葉を交わさなくても会話さえ出来るようになっていた。 子猫にはいつの間にかシロという名前が付いていて、なんやかんやと可愛がっている。 もうすぐ本格的な冬がやってくるから、そろそろ炬燵を出して喜ばせてやろうかと考えていた。 だからまさか、あんなことになるとは思いもしなかったのだ。  
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