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「実際は『絡まれている男子学生に何故か巻き込まれて、成り行きで上級生と戦った』って話なんだけどね。実際勝ってないしさ。」
しかも顔にも傷を付けられている。服を着ているので分からないが、腹部にも痣ができている。
「でも、剣を折ったのは本当じゃん。箒で。」
「そこには触れないで。」
できることならソコも消えてほしかった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
あまり話ばかりしていると、本当に新入生オリエンテーションに遅れてしまうと、二人は急いで部屋を出た。
会場は本校舎の2階にある講堂。寮と本校舎は1階の渡り廊下で繋がっている。ちなみに先程出てきた食堂というのは、本校舎に設置されており、寮棟内には食堂はない。
1年生は寮の4階フロアが割り当てられている為、会場までは少々距離がある。講堂にたどり着く間中、多くの人にじろじろと見られているような気がした。
「やっぱりコレ目立つよね。」
たまに小さな声で「昨日の…」なんて聞こえてくるし、指差す人もいる。明らかに怪我をしていますと主張している頬の絆創膏のせいで確実に目立っている。エステルは小さく溜め息を吐いた。
「大丈夫よエステル。そのうち皆忘れるって。」
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