1.災難のハジマリ

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 噂されてはいるものの、絡まれることはなく(きっと剣を折った云々で怖くて近づけないのだろう)何事もなく時間前に講堂へとたどり着いた二人は、入り口の受け付けへと向かった。  受付は5,6箇所あり、それぞれに制服姿の上級生らしき姿があった。  そのうちのひとつにエステルも並び、合格証書と街から発行された身分証を提示する。名簿を見ながらそれを確認すると、学生番号入りのカードと大きな封筒を渡された。   「中に入って好きな席に座ってください。特に席については決まってませんので。」  にこやかに説明する受付の上級生に頭を下げる。彼女の腕には『企画委員』と書かれた腕章が付けられていた。 「大丈夫。噂話なんてすぐに消えるわよ。」  エステルにだけ聞こえるような小さな声でそういうと、彼女はウインクした。どうやら上級生にもあの噂話は広まっているようだ。  もう笑うしかない。
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