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6月22日… 始まり
ガラケーからスマホに替えた。
俺の周りにいる友達は、ほとんどみんなスマホだ。
「俺、スマホ よーわからんし、行けるとこまでガラケーで行くわ」
最初は本当にそう思っていた。
しかし、周りが楽しそうに話すアプリだのlineだの、スマホに関する会話に全く入っていけない。
少しずつ疎外感を感じ始めた俺は、ついに今日、スマホに機種変更してしまった。
「あんだけ、俺はガラケー派やからスマホなんかにはせんって言ってたのになぁ」
「うっせーな、もう良いじゃんかよ!」
始めてのスマホにビビりながら触っている俺の横で、雅也が笑いながら俺をちゃかす。
本当は学校の授業が終わったら、1人で携帯ショップに行く予定だったのだが、授業が終わるなり帰ろうとした俺を、怪しんだ雅也が無理矢理ついてきたのだ。
「んな、俺帰るわ」
「えっ?スマホ教えてくれへんの?」
「俺、今からバイトやねん。なんかわからん事あったらlineしーや」
「line?メールの事か?」
「お前…ちょっとスマホ貸してみ」
苦笑する雅也にスマホを渡すと、雅也はスマホをいじり始め、少しして俺にスマホを返す。
「lineのアプリ入れといた。これな。今日からはこれで俺に連絡してこいな」
「なんやこれ?」
「メールみたいなもんや。まあ、使ってればわかるやろ。ほな、俺行くから」
そう言うと、雅也は持っていた鞄を前かごに入れ、自転車にまたがた。
「ああ、わかった。ありがとう」
俺がお礼を言うと同時に、雅也はバイト先へと向かって行った。
結局、雅也が携帯ショップについて来てくれたおかげで、機種変更もスムーズに出来た。
俺1人だったら、いくつも種類があるスマホの中から、どれか1つ選ぶだけでも時間がかかっただろう。
本当は雅也にスマホの事をもっと教えてもらいたかったけど、バイトだから仕方ない。
雅也と別れた俺は、ゆっくりとスマホをいじるべく、さっさと家に帰る事にした。
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