6月22日… 始まり

1/6
172人が本棚に入れています
本棚に追加
/391ページ

6月22日… 始まり

ガラケーからスマホに替えた。 俺の周りにいる友達は、ほとんどみんなスマホだ。 「俺、スマホ よーわからんし、行けるとこまでガラケーで行くわ」 最初は本当にそう思っていた。 しかし、周りが楽しそうに話すアプリだのlineだの、スマホに関する会話に全く入っていけない。 少しずつ疎外感を感じ始めた俺は、ついに今日、スマホに機種変更してしまった。 「あんだけ、俺はガラケー派やからスマホなんかにはせんって言ってたのになぁ」 「うっせーな、もう良いじゃんかよ!」 始めてのスマホにビビりながら触っている俺の横で、雅也が笑いながら俺をちゃかす。 本当は学校の授業が終わったら、1人で携帯ショップに行く予定だったのだが、授業が終わるなり帰ろうとした俺を、怪しんだ雅也が無理矢理ついてきたのだ。 「んな、俺帰るわ」 「えっ?スマホ教えてくれへんの?」 「俺、今からバイトやねん。なんかわからん事あったらlineしーや」 「line?メールの事か?」 「お前…ちょっとスマホ貸してみ」 苦笑する雅也にスマホを渡すと、雅也はスマホをいじり始め、少しして俺にスマホを返す。 「lineのアプリ入れといた。これな。今日からはこれで俺に連絡してこいな」 「なんやこれ?」 「メールみたいなもんや。まあ、使ってればわかるやろ。ほな、俺行くから」 そう言うと、雅也は持っていた鞄を前かごに入れ、自転車にまたがた。 「ああ、わかった。ありがとう」 俺がお礼を言うと同時に、雅也はバイト先へと向かって行った。 結局、雅也が携帯ショップについて来てくれたおかげで、機種変更もスムーズに出来た。 俺1人だったら、いくつも種類があるスマホの中から、どれか1つ選ぶだけでも時間がかかっただろう。 本当は雅也にスマホの事をもっと教えてもらいたかったけど、バイトだから仕方ない。 雅也と別れた俺は、ゆっくりとスマホをいじるべく、さっさと家に帰る事にした。
/391ページ

最初のコメントを投稿しよう!