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ジッとこちらを見てくるので、素直に答える。
「見たけど…。」
通学路やバス停に女の子が何人か居たっけな…とさっきの光景を思い出す。
「そうじゃなくて、たぬきの置き物の…」
たぬき…たぬき…あぁ!
「道の真ん中にいつの間にかあったやつか!」
「そう、それ!それずっと見てたら僕たちと同じくらいの女の子が見えたでしょ?」
あぁ、そういえば見えた。おかしいと思いながら振り向いたらここにいたんだっけか。たくさんのことが一度に起こりすぎて頭の中が整理できていないみたいだ。
「見たぞ。半透明だったが、あのスカートの短さは尋常じゃなかった!」
「そんなとこ見てたんかいっ!…まぁいいや。やっぱり見たんだ、女の子。」
弟から初めてツッこまれた嬉しさは置いておくとして、その置き物の女の子のことが気になる。
…スカートめちゃくちゃ短かったし。
「その女の子を見たらなんなんだ?」
はっ!まさかその女の子を見たからここに来たとか!?いや、ないだろ。うん、ないない。
「いや、そのまさかだよ」
「えっ…?」
口に出していないはずの自問自答に弟が口を挟んだ。
「口に出てるよ…」
はっと咄嗟に抑えるが対して意味はない。
おまけに弟にクスクス笑われた。恥ずかしい…絶対顔赤くなってるよ…。
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