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暗い部屋の中、汗がメガネのレンズを濡らすのも歯牙にかけずにひたすらレポートを書き続ける若者がいた。
熱帯夜なので窓は開けっ放し。アパートの一室なので狭く、棚に並べられたプラモデル以外は何の特徴もない部屋。
明らかに孤独な若者がいた。
…ていうか僕だった。
自虐しておいてなんだが、僕は今の状況を全く寂しいと思ったことはない。
普通に国公立大学は出てるし、就職難なご時世に少し特殊な場所ではあるがちゃんと職に就いてる。
彼女なんかはいないが、暮らしは安定してる。特に何の不自由もない。
僕は今の暮らしで満足している。今の暮らしを満喫できてる。
それだけでよかった。
でもその日、あの瞬間から、僕の日常は―――――狂い始めた。
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