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時計を見ると夜中の三時を過ぎたところだった。
「さぁて、今日はもう寝よ。」
厳密に言えば今は今日ではないのだけれど、やることはもうないし。
僕は一つ伸びをして、押し入れの前に立った。
―――その時だった。
「誰か止めてぇぇえええ!!」
ふと女性の叫び声が聞こえたと思った、次の瞬間。
僕の腹に何か棒状のものが物凄い圧力でざくっと食い込んだ感じがした。
「ぐふっ!」
僕の口からどこぞのモビルスーツのような呻きが漏れたところで、突然のことに閉じられた目を開いた。
すると目の前には魔女のような帽子をかぶった、金髪碧眼の美少女が…。
「あなたは文明使いさんですか?」
「は?」
文明使いさんって何だよ?
そうは思ったが、この少女の突拍子もない質問のお陰で僕は冷静さを取り戻した。
どうやら僕は今、この少女の下敷きになった状態らしい。
そういえばさっきから柔らかいものが二つほど………あ。
「ととトトと、とりあえず君は、はっ早く僕の上からのけぇ!」
「はぅッ!」
兎に角、僕の顔の赤面化の要因は取り払った…。
ここでもう一度冷静になろう。
目の前には金髪碧眼、黒ずくめの魔女の格好をした美少女。
僕の手元にはほうき。恐らくさっきの衝撃はコイツの先端だ…。つまりこのほうきが窓の外から飛んできて、僕の腹に食い込んだわけだ。
ん?待て待て待て!
僕は今とても恐ろしい想像をしているッ!
え~ナニナニ?
窓の外から魔女がほうきに乗ってとんできて?
ソイツが部屋に飛び込んできて、この状況ができた…と?
………アホか!!
そんなことが信じられる訳ないだろう?
てか起こる訳ないだろう!
何考えてんだ僕は!
「あ、あのぅ…。」
「うっさい、黙ってろ!僕は今考え事をして…る。」
待てよ?
そんなの考えなくたって当事者であるコイツに聞けばいいじゃないか!
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