虚言

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そのストレスを解消するために、湯水のように金を使った。 どうせ小遣いなんか好きなだけ貰える。 塾や習い事だって言っておけば、遅くまで帰ってこなくても何も言われない。 塾や習いがある日か無い日かなんて、母さんや父さんは把握していない。 俺のことを見ているようで見ていない。 結局あの人達は俺が立派な人間とやらになって父さんの会社を継げば何でもいいんだ。 つまらない……。 やっぱり、あの場に残ってれば良かった。 今になって後悔をする。 時計に目をやると22時を過ぎていた。 紅茶を飲んだら今日はもう寝よう。 俺はテキストを閉じ、携帯電話を見た。 メールの返事や着信は無かった。 少しして紅茶を持ってきた母さんに、今日は体調が悪いから勉強は切り上げて寝ると伝えた。 母さんは「じゃあ明日は体調を治して、今日の分もしっかりお勉強しなさい」とだけ言って部屋を出た。 ……。 俺は紅茶に口を付けず、ベットに潜り込んだ。 目が覚めたらこんな世界壊れてれば良い。 こんな世界……。
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