虚言

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俺はすぐにトイレの個室に駆け込んだ。 ポケットから携帯を取り出そうとするが、手がガクガクと震えなかなか取り出せない。 思い通りにならない自分の手がもどかしい。 なんとか携帯を取り出し、すぐに電話をかけた。 電話の相手は岳だ。 いや、岳だけじゃない、汐莉にもタムジュンにも結芽にも教授にも、みんなに電話をした。 でも、みんな留守電に繋がるだけだ。 なんでだよ!! なんで繋がらないんだよ!! 俺は何度も何度も電話を掛け続けた。 結果は変わらなかった。 行方不明なんて……そんなこと……。 俺のせいなのか!? 俺があんなことにみんなを誘ったから! 俺が直前になって、ビビッて1人だけ逃げたから! 俺は携帯から自分のブログを開いた。 愚痴ばかりのくだらないブログだ。 コメントどころか観覧者すらいない。 一週間前に、そんなブログに初めてコメントが来た。
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