虚言

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『メールでは詳しくは話せない。 M.Dのことは実際に会ったときに教える。 興味があるなら人数を6人揃えてくること。 ただし、それなりのリスクを覚悟してくること。 お金などは必要ない。 重要なのは私の好奇心を満たしてくれるかどうかだ。』 秘密にされればされるほど、気になっていった。 俺はその話に乗ろうと決めたんだ。 そして残る5人、岳や汐莉たちにこの話をした。 反対されるかと思ったが、みんなあっさり了解した。 みんな隠してはいるが、この現実に不満を持っているってことだろう。 じゃなきゃこんな胡散臭い話信じない。 俺はコメントしてきた相手に、その話に乗ることを伝えた。 すると相手は場所と日時を指定してきた。 その日が、一昨日の土曜日だ。 駅前で待ち合わせをし、指定する場所に向かった。 でも俺はM.Dを使わなかった。 直前になって逃げたから……。 結局、俺は散々文句を言ってきた現実を捨てることが怖かったんだ。
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