Beginning………。

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「………。」 いつの間にか俺は草原に寝転んでいた。 気付けば草の感触、風の音、日差しの熱が。 つまり、感覚があった。 「あれ…?何でそんなこと知ってんだ…?」 そんなこと、だ。 俺は知らないはずだ。赤子より無知で、存在も認知も何もされてないはずの俺が、何かを知っているのはおかしい。 「………ま、いっか。」 俺は立ち上がろうとして、止めた。 「住む場所も金もねぇ。服は何故か着てるが…生きてはいけねぇ。」 俺には名前も無い。 自分の事はほとんど分からねぇ。 分かるのは俺が今ここに存在すること。 ここが草原だということ。 常識はあるということ。 ぐらいか? 「………あー、どうしよ。」 物語の主人公なら此処で出会いがあるだろう。 出会った誰かが助けてくれるだろう。 だが、俺は主人公でも敵でも脇役でも村人Aでもモブでもない。 誰も助けてくれねぇ。 「………取り敢えず、歩こう。」 俺は改めて立ち上がり、歩きはじめた。
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