連絡と現実

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如月 智雪(きさらぎ ちゆき)28歳 家はごく平凡な家庭。父親は普通にサラリーマン。彼女も、会社勤めのOLだ。 今まで生きてきた中で、それなりのレールをただ歩いて、そして今もそのレールに乗っかっているだけ。 彼氏はいない歴年齢という、天然記念物である。世に言う生娘とはよく言ったもので、25歳を超えると生娘どころか「干物女」といっても過言ではない。 会社の飲み会には一次のみの付き合いで、二次会には出ず、仕事はきっちりする。 歳を重ねるごとに社内で「お局」位置に早くも頭角を現していることに彼女自身まだ気づいていない。 そんな彼女の日課は、会社にいって帰ってくるのただそれだけ。 習い事もなければ趣味はインドア。 彼女に出会いという言葉は無縁であった。 「先輩、出かけるなら、牛乳お願いできますか?」 休日のリビングで、トーストを半分つまんでいた智雪に美香は子供煎餅を持ちながら言った。そう言ったのも、智雪の恰好が、ラフなTシャツではなく、薄手のワンピースを着ていたからだ。 「んー、いつものメイジーの奴?」 「そうです、今晩の分がなくて」 「ついでに買い物をしてくるよ、メモ頂戴」 「いいんですか」 「どうせ、私も食べる夕食じゃない、構わないわよ。」 じゃぁお願いします、と美香は智雪に買い物メモを書き出す。 「自分で買ってくればいいのにねアイツ」 そう、智雪が悪態を吐くのは弟に対するものである。それには苦笑いで返し、美香はメモを渡した。
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