連絡と現実

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梅雨入りはいつになることか、六月の頭に入っても空は曇天どころか快晴。 むしむしする暑さとは違い、八月並の暑さが押し寄せていた。 気温は32度。智雪の車はかんかんに太陽に照らされて、順調に車内の温度は持ち主の気分に反して上昇中。 ドアを開けた瞬間押し寄せてくる熱風にも似た暑さに顔を歪めさせ急いでエアコンを入れた。 雨の降りどころはいつだろうか…。 車内に響くエアコンの独特の音、数分して、明らかに体に悪そうな空気が車内を循環したところで智雪はアクセルを踏んだ。 流れる雲は近く、入道雲が空を埋めている。あの向こうには名作の城があるはず…、そう毎回思いながら、行き慣れた道を車が滑っていく。 数分走った先に青い一軒家が見える。廻りの住宅に比べひときわ目立つその家が彼女の目的地だ。 「いらっしゃい」 インターホーンを押す前に家主が智雪を出迎えた。 「あれ、今日は中じゃないの?」 「たまには外の空気を吸わないとね、ところで例の奴持ってきました?」 「ご所望のモノはここに」 彼女のそれに、智雪は手に持っていた箱を掲げた。 よろしい、中へどうぞと、彼女は玄関を開く。 「お邪魔します」 「はい、お邪魔です。」 「入る前にそれ言う!?」 軽いコントみたいなふしに二人は笑った。
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