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夏の風が大輪のひまわりの花びらを微かに揺らしていく。
「立派なのが咲いたな。」
「でしょう!」
育て上げた本人の笑顔は誇らしげ。
アパートの敷地の一区画、管理人の許可を得て、清海がそこに花を植え始めたのは今年の春。
元々は斜向かいに住む独り暮らしの老人を慰めるためだった。
芽が出たと言っては声をかけ、つぼみがついたと言っては声をかけ、愛犬を亡くして籠りがちだった老人も、やがて共に世話をするようになる。
今では好きに使っていいと言われ、花壇と整備されたそこは季節ごとの花で彩られている。
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