日常

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「はいトマトジュース」  いきなり後ろから現れた一人の女子生徒が、トマトジュースの缶を差し出した。 「うん美味い。ってなんでやねん」  雛乃が受け取った瞬間、女子生徒は直立不動で強弱なく言葉を発する。 「何で棒読みやねん! 変な関西弁使いなや! サラ、頼むわ。言わしてや」  サラと呼ばれた女子生徒は、雛乃のツッコミなどもろともしなかった。 「毎回決まってるからいいかなって。エヘ(笑)」 「小首傾げても可愛いないわ」  サラは零示に軽くお辞儀をして去っていき、ポツンと残された雛乃も彼女の後を追いかけて、消えていった。 「ここは男に全然ビビらないんだな」 「前にも男性がいましたので」 「!」  零示の独り言に返事があったのでビックリして声がした方を見ると、一人の女子生徒が立っている。 「城の中の美しく優しい姫と書いて、城中美優姫と申します」  城中美優姫は零示に頭を下げた。 「……」  彼女のフルネームと今の本人の感じが見事にマッチしていたため、零示は二の句が繋げなかった。
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