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「少年」
校庭のベンチに座る零示に誰かが話しかけてきた。
「少年ってなんだよ」
急な呼び掛けに戸惑いながらも、返事をする。
「織斑千冬さんから話は聞いている」
彼女の言葉に零示は立ち上がり振り返った。
そこには黒髪を腰まで伸ばし、右腕には『生徒会長』の腕章をつけた女子生徒が一人。
「IS学園とはまた違うだろ」
彼女は笑顔を見せる。
「実地研修って何だよ! 全くわからない!」
今まで溜まっていた疑問をさらけ出すかのように、一気に言葉を撒き散らす。
「私達にも実地研修の意味はわからないのだから、少年がわからなくても当然だ」
彼女のはっきりした言葉に零示はコケた。
「要は息抜きだな」
女子高に通っているのにもかかわらず、女子高に息抜きという意味がわからない。
零示は諦めたかのように歩き出した。
「人の名前はちゃんと聞いておかないと。ねぇ織斑さん」
彼の姿が見えなくなるのを見計らい、彼女は背後に声をかけた。
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