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私、安西 美春はイタリアンレストランAldoで料理人をしている。
「おい、安西!モタモタしてねぇで早く盛り付けしろよ!」
「うるさいわね!今集中してるんだから黙っててよ。」
さっきからえらっそうに私に指示しているこの男は同期の竹本 宗太郎。口はうるさいしガラも悪いけど腕だけはいい。悔しいけど。
「なぁ、今日閉店後にオーナーが来るらしいぜ。」
「オーナーが?なんでよ。」
「ばーか。決まってんだろ。俺かお前のどっちかを料理長にするつもりなんだろ。」
前の料理長がいきなり店を辞めたのは一週間前。
それから料理長不在の状態でなんとか店をやってきたけど、ついにこのときが来たらしい。
「…ねぇ。」
「あ?」
私は盛り付けの手を止めた。
「自信、ある?自分が料理長としてやっていく自信。」
私が尋ねると宗太郎も手を止めてこちらに視線を向けた。
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