後の祭り

4/7
前へ
/24ページ
次へ
閉店後。静まり返った店内にオーナーの甲高い声が響いた。 「宗太郎くんに美春ちゃーん!お疲れさまっ!」 「お疲れさまです、オーナー。」 オーナーの貴子さんは5年前に旦那さんを亡くしてからこの店を守ってきた人だ。 40歳を超えてるはずなんだけど、タイトな黒いドレスに身を包む姿は30台前半にしか見えない。 「今日私がここに来た理由。2人ともわかってるわよね?」 「後任の料理長の件ですよね。」 宗太郎が固い顔をして答えた。 「そうなの。私としては2人のどちらかに料理長をしてもらいたいって思ってるのよ。」 予想はしていたけれど、心臓がドキドキと音をたてはじめた。 「2人はこの店をとっても大事に思ってくれてるし、若いけど腕もいいし。2人のどちらが料理長になっても大丈夫だって、私は確信してるのよ。それで…」
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

36人が本棚に入れています
本棚に追加