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「ケンター!!ケーンター!!」
後ろから勢い良くやって来た僕に驚くケンタ。
「なんだいきなり!?」
「ケンタ、親離れをさせたあとのお母さんって何処に行くと思う?」
ケンタは怒ったように泣き出してこう言ってきた。
「知るわけないだろ!?わあぁぁぁん!!お母さんに会いたいよぉぉ」
僕は失敗したと思った。
親離れをさせられた猫にお母さんの話はしちゃいけないんだと……。
「ごめんよ。君を泣かすつもりじゃなかったんだ…」
僕はひたすら謝ったが、ケンタは泣き止まなかった。
困ったなぁ…。
「ひっく、ひっく…。お母さんには、もう、会えないんだよ…ひっく」
ケンタは泣きながらこう言った。
「でも、僕はお母さんに会ってみたいんだ…」
僕は物心ついた頃から田中家にいたから、親離れの辛さは知らない…。
だけど、お父さんやお母さんが旅行にいってしまい、一人で2日間もお留守番をしたときは本当に寂しかった。
「親離れをしたら、もう…もう、一生会えないんだ」
ケンタは泣きながら走っていってしまった。
……一生会えない
でも僕は会いたいんだ…
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