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白亜のラボのドアの向こうには、すでに状況を把握済みのシャクによって放たれた、正規軍モデルのドロイドが数体、万全の体制を持って、こちらの出方を伺っていた。
完全に囲まれた室内は、つかの間の静寂に包まれている。
トウヤの号令を待つ、3体のドロイド。
三者三様のモデルの中で、最も対戦闘型プログラム強化を受けている1体のドロイドが、そのドアに対峙する形で、マスター3人を守護していた。
「『螺旋』の降下手順のマーキング、完了っと。」
常日頃から少年のようにあどけない顔つきと称される表情でロクはそう呟くと、彼独自にハイチューンナップされた愛用のタブレットを、手馴れた手つきで黒皮のショルダーバックにしまう。
その動きと連動するように、ロクと向かい合って直立していた背の一番高いドロイドの瞳がゆっくりと開いた。
「マスター・ロク。降下先のターゲット情報とランドマークとのリンクが揺らいでいます。」
「セブン・オウ、ノーマルモードに戻れ。」
ロクの命令を受けた背の高いドロイドの表情が、とたんに茫洋としたものに変わった。
「だめだ、ロク。これじゃ『螺旋』をたどりきれない。途中ではぐれるぜ?」
頭を一度掻き毟って、セブン・オウは自分の本来のマスターを肩を小突いた。
「おい、お前、マジでこれ転送開始していいのか?」
そう問われると、持ち前の優柔不断さが表情に出てしまい、シーオンは悩ましげに唇をかみ締める。
その時、ドアを通してジャミングされる全ての波動をシャットアウトしていたドロイドが、ふいに腰を落とした。
「早く決めろ!シャクの野郎がセブン・オウを取り戻しに来る!」
セブン・オウが、心底めんどくさそうに体を揺らしながら、未だ決断をしないトウヤに苛立ちをぶつけた。
「俺かよ!どうすんだよ、トウヤ!?」
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