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「マスター・トウヤ。後はあんたのオーダーのみだ。セブン・オウが奪われれば、全ての計画がおじゃん。俺らは捕縛。間に合わない。」
ロクは、眉間にしわを浮かべて動かないトウヤにゆっくりと近づいた。
「・・・あんたの、度を越した愛ってのは、その程度か?」
漆黒の鏡のようなロクの瞳を、その瞬間鋭くにらみつけたトウヤは、彼を出方をあからさまに窺うロクのその肩越しに、静謐を持ってひっそりとたたずむ自らのドロイドの姿を目にした。
彼のドロイドは、トウヤの苦悶を理解するかのように、そっと微笑むと、否を言わせないような口調で宣言した。
「セブン・オウに、『螺旋』降下の命令を。シーオン、後は君のコントロールにまかせます。・・・行きましょう、トウヤ。」
彼のドロイド、セブン・ダイと視線を交わし、一瞬瞳を閉じたトウヤは、次の瞬間、闘志と決断を瞳にこめて、彼はセブン・オウに命じた。
「セブン・オウ。『螺旋の階段』を開け。シーオン、出口を見落とすな。」
セブン・オウは、その禁忌の命令を下したトウヤにニヤリと微笑むと、彼の持つスペックを一気にフル稼働させる音を持って、回答に変えた。
「ショウ、俺を頼む!」
ロクの声に、今にも破られそうになっている扉に注意を向けたまま、ショウは彼のマスター・ロクの身体を右肩に抱え上げ、唸りを上げて灼熱の塊となるセブン・オウの隣に立った。
「オウ、俺はどこにつかまれば・・・」
彼のマスター・シーオンの力の抜けるような質問に、オウは舌打ちを返した。
すると、ショウがシーオンの手を取って、オウの背中から強引に抱きつかせた。
「いやいや、やっぱこの高温の塊に抱きつくのは無理っしょ?!って、あっちぃー!!」
「お前、医者なんだから、自分の火傷くらい気にするな!」
ショウに叱られ、苦渋の顔で必死に自分にすがりつくシーオンを無視し、オウは自分の左隣に並んだマスター・トウヤとセブン・ダイを確認すると、再びその表情を消し、目を瞑った。
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