9人が本棚に入れています
本棚に追加
さて…。
遊具やボールのある外で遊ぶか?
レゴブロックや絵本のある部屋の中で静かに遊ぶか?
どうやって遊ぶかで勇人が思案していると、スッとソナタが一人で外に出て行くのが見えた。
それを追ってアインも外へと出て行く。
『少しはアドバイザーらしい事でもしてやるか…。』
勇人は遊ぶのを止め、二人がちゃんと友達になれるかどうか見守る事にした。
外に出て周りを見回すと、皆思い思いな方法で遊んでいる。
ただ走り回る男の子。遊具で遊ぶ女の子。
皆楽しそうに笑っている。
ソナタは砂場で遊んでいるようだ…。
そこにアインが静かに、肉食獣が小動物の獲物でも狙うように近づいていく。
「ナニしてるの?」
相手に対して興味を示す意思の言葉。
人にかける第一の言葉。
アインは勇気を出して、砂場で遊ぶソナタにそう話しかけてみた。
自分から何か話しかけるコレがまず一歩。
勇人は木陰から見守りつつ、グッと拳を握る。
『よしっ!話の切り出した方は良いぞアイン。』
一瞬、誰に向けて言われたのか理解出来なかったのか、ソナタはキョドって辺りを見回す。
自分に向けられた言葉だと理解すると、恥ずかしそうに視線をそらし、はにかんだ表情をしつつ声を絞り出す。
ソナタは多少恥ずかしがっているが…。
こういう時、好奇心旺盛な人見知りをしない小さな子は良い。
「…おやまをつくって…おミズをながすの…。イッショにつくる?」
最後らの言葉はほとんど聴き取れない程の小さなものだったが…。
元来、内向的なソナタには精一杯の勇気のいる誘いの言葉だった。
ソナタの側には象の形をした子供用ジョウロとバケツがある。
それらを使って砂山に水を流したいようだ。
アインはニッコリ微笑むと大きく明るい声で…。
「うんっ!!あ~そ~ぼ~っ!!」
子供最強の言葉で答えた。
友達を作る為に大事な二言めも言えたアイン。
ソナタと一緒に砂山を作る事になった。
勇人はそれを見て拳を再び握りしめ…。
『ヨシっ!!でかしたアイン。
コレで上手くいけば、今日中にソナタと友達になれる!!
って…、これじゃあ何か俺、父親のような立ち位置になってる…!?』
自らにツッコミを入れていると…。
いつの間にか砂山は大きく出来だしていた。
トンネルを掘ろうと、アインとソナタが両端から掘り出した時である。
それを見た一人のヤンチャな男の子が、急に走って来て砂山を…。
最初のコメントを投稿しよう!