2度目の幼稚園

7/10
前へ
/471ページ
次へ
「どっかーん!!ガオ~~!バリバリ!ずぎゃ~ん!ギューーーン!ど~~~ん!!」 その男の子が砂山をメッタメタに蹴り壊してしまった。 明らかにワザとだ。   「ぎゃははっ!おもしれぇ~!!」   けたたましく笑う男の子。 一瞬、何が起こったのか理解出来ないアインとソナタだったが…。 ソナタは徐々に涙を浮かべ…。 「うぇわ~~~~ん!!…」 とうとう泣き出してしまった。 泣き出すソナタに、砂山を壊した男の子の方が面喰らった。 その男の子にとっては、砂山を思い切り壊す事が、楽しいと思えたから壊したのに…。 なぜ、ソナタが泣き出すのか理解出来ない。 まだ、幼きゆえに…。   「よわむしっ~!ナクなっバーカ!!」   泣き出したソナタに、どうして良いのか分からず、思わず大声で罵声を浴びせる男の子。 それを聞いて、ソナタは更に泣いてしまう。 ヤンチャな男の子は、泣き声が五月蝿いのと、泣き止めと言ったのに泣き止まず、思い通りにいかないイライラから…。 徐々にソナタに対して、腹が立って来つつあった。 それを見たアインはうろたえる。   『え~と…。こ、コレは…。 この場合どうしたら良いんですかね? 勇人様?』   オタオタしながら、アイコンタクトで勇人に助けを求める。   『どんなアクシデントにも即対応出来るんじゃ無かったのかよっ!!』   木陰から勇人はそうツッコミを心の中で入れながら、アインに必死に身振り手振りで伝えようとした。   『アイン何してんだ? ソナタと仲良くなれるチャンスだぞ。「何するんだっ!!」って抗議して突飛ばせ!!』   そう勇人が伝えようとするが、当のアインには伝わらない。 アインはどうしたら良いのか分からずに、ただただうろたえる。 そんな時である。 ある一人の女の子園児が、一人ポツリと木陰に隠れて怪しく動く勇人に気づき、勇人に近づき…。   「そんなところでナニしてるの…?」   勇気を出して恥ずかしげに質問の言葉を投げかけた…。 だが勇人は、アインにアイコンタクトを送るのに必死で、女の子園児に構ってられない。無視を決め込む。 だが、女の子は勇人が聞こえなかったと思ったのか…。 更に大きな声で勇人の袖をひっぱって質問し続けた。   「ねえ、ナニしてんの?ねえ?ねえっ?。」   服の裾を掴みブンブン振り回す。 「え~い五月蝿いっ!あっち行ってろっ!」   勇人は思わず手で振り払った。 女の子は思わず泣きそうになる。  
/471ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加