禁断の研究

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 人は私のことを悪魔や殺人鬼だと呼ぶだろう。それは、覚悟の上で、私はこの研究に一生を捧げようと思ってた。  私が行っている研究。それは、不老不死についてである。不老不死こそ、人類が長年、追い求めてきた究極の研究であった。  しかし、厄介なことに近年、その研究は公にできない状況にある。生命倫理や人口問題など様々な要因が絡み合っているが、一番の問題となるのは実験材料だろう。新薬などの開発には動物を使い、最終的に臨床実験という形で人に投与される。それと同じで、不老不死の確実性を調べる為には、人で最終的な結果を導き出さなくてはならない。だが、それをどうやって、検証する?まさか、不老不死をあることを確かめる為に百年以上待って不老であることを確認するのか?その場で、その人を殺し不死であることを確認するのか?そんな非人道的な研究が許されるはずがない。だからこそ、この分野の研究は常に進歩に悩まされ続けてきた。  それでも、私は研究の過程で死んでいく人達は、残念であるが、未来に人類が不老不死を叶える為の尊い生贄であると割り切っている。そうでなければ、研究を続けられない。  私は長いこと、不老不死の研究を続けてきた。その中で、一つ方針を見据えることができた。それは、執念である。有名な作家や俳優が最後の大仕事をやり遂げた後で、大往生するという話はよく耳にすることだろう。どうして、そのようなことが起こるのか医学・科学的に分かっていない。私は、その執念という未知なる力に不老不死の可能性を見出したのだ。一つのことに没頭することで、それを成し遂げるまで死なない。もし、その執念を極限まで高めることができれば、人は限りなく不老不死に近い状態になるのではないか。
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