禁断の研究

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 しかし、残念なことに、それを検証する術がなかった。真に没頭できる人間が見つからないからだ。誰だって、命の危機に晒されたら没頭など忘れてしまう。それは、死へと直結する。そのような軟弱な献体ではいけない。執念深く生きていられる人間を見つけだし、その原理を解明することができれば、私の研究は完成する。私が理想とする献体が見つかるまでは、他の可能性を追求しながら、この禁断の研究を進めていくしかない。  人はきっと、私のことを悪魔や殺人鬼と呼ぶだろう。それでも、人類の輝かしい未来を手に入れる為だ。それを、信条に掲げ、私は今日も研究に励むのだ。かれこれ、研究を始めてから二百年は経つが、いまだ理想とする献体にも巡り会えてはいない。
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