変な植物

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 それは、何もない空き地で発見された。 「何だ?これは・・・」  それを見つけた人々は、同じ言葉を口にした。  それは、植物であった。葉も生やさないで木の枝を四方に伸ばしたような、少し不気味な植物だ。図鑑で調べてみても、どこにも載っていない。  植物学者が、その植物に興味を持ち調べてみるも、どんなに調べても、それが何なのか良く分からなかった。 「実に奇妙な植物だ。普通、植物は種で数を増やすはずだが、この植物にはそれがない。竹のように根で増えるのかと思い、周囲を調べてみたが、根はどこにも伸びていない。第一、それだと、あの植物と同じモノが幾つも周囲に生えていなくてはおかしい。しかし、何処にもない」  植物の生態系だけでも謎であった。さらに、植物を詳しく調べてみようとすると、奇妙なことが発覚した。  サンプルを採取しようと植物をナイフで切ろうとしてみたが、歯が立たないのだ。ハサミやノコギリで無理矢理、切ろうとしても金属である刃物の方が負けてしまうのだ。おかしいと思い、今度はライターの火を近付けてみるも、植物は全く変化しなかった。全く燃えないとは常識では考えられない植物だ。 「おかしいぞ。ただの植物のはずなのに、まるで、金属のように硬い」  はじめはただの植物だと思っていたが、ここにきて、これはただの植物ではないと学者は感じた。不気味に葉を生やすことなく、枝を広げながら空に向かって伸びていく様は、異様なモノに思えてきた。 「何とかしなくては」  人々は何とか、植物を地面から引き抜こうとしたが、全くもってうまくいきそうにない。根が深く張っているせいなのか。クレーン車を使っても抜ける気配はしなかった。  人々は焦りを隠せない。今もこうしている間にも、植物は生長を続けているのだから。厄介なことになる前に処分しないと。 「どうやら、地球人は、あれを抜くのに手間取っているようだ」  宇宙船の中で、一連の様子を観察していた宇宙人が言う。 「ああ。だが、連中が気付くことはないだろう。あれが、地球の情報を集め、我々の船に情報を届ける為のアンテナであるということには」
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