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「?紀田警部。これは?」
「今朝見付かった不審死体の捜査資料だ。」
「これがどうかしたんですか?」
「その死体の状態や現場の状況についての捜査報告の部分を読んでみろ。」
「なになに。『遺体の状態は死後一晩は経っているのはわかるが、巨大な爪で引き裂かれたと思われる裂傷が多数診られ、現場にもまた、同じような爪跡が多数見られる。現段階ではまだ、事故か他殺かの判断は困難である。』!?」
「気付いたか・・・」
「この遺体の状態と現場の状況ってもしかして・・・」
「あぁ。十年前のあの謎だらけの事故とほぼ同じだ。」
捜査資料を読んで驚愕の表情を浮かべる黒嶋に、紀田は真剣な表情で頷く。
「最近じゃあ、この署の管轄外でも似たような不審死体が見付かってる。」
「まさか・・・十年前の事件と繋がっている“可能性”があるってことですか?」
「まだ確証はないが、その“可能性”は高いと俺は睨んでいる。」
「わかりました。調べてみます。」
黒嶋はそう言うと、紀田から受け取った捜査資料を鞄にしまい、立ち上がる。
「あぁ、待て待て。この事件を調べるんなら、この子のことも頭に入れておけ。」
紀田はそう言うと懐から一枚の写真を取り出し、それを黒嶋に手渡した・・・
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