短冊

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願いを込めて笹の葉に吊すだけで 子供の頃は絶対に叶うと思ってた 大きくなったらヒーローになって 悪い怪獣をやっつけるんだ パパもママも応援してくれた ヒーローになれるといいねって だから僕はヒーローになったら パパとママを守ってあげるね 昔、僕が短冊に書いた言葉はね “パパとママのヒーローになる” 七夕の意味も織り姫も彦星も 僕はまだ知らないけれど 幼稚園の先生がこの紙に書けば きっと叶うと言っていたから あの頃は何でも信じていた 何でも出来る自信があった まだ何も知らずに怖いものなんて 何もなかったから だけど僕は大きくなっても ヒーローになんてなれなかった あの時僕はパパとママを 守ることなんて出来なかった 大人になった僕はいくら願っても 叶わないこともあると 知ってしまったけれど それでも僕が今 短冊に願いを書くとするならば “どうか僕に自信を下さい 大切な人を守れる勇気を下さい”
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