0人が本棚に入れています
本棚に追加
真っ白の空間には、あたし以外誰もいない。
悠もいない。
「ゆう…?」
どこにいるの?
あたしを一人にしないでよ、
お願いだから、1人はもういやなんだ。
「あなたは、鬼の子だ。」
「だれ…?」
「鬼の子よ、あなたは助けなければならない者たちがいるのだ。」
「助ける?あたしが?ちょっと待って。鬼の子って、なに?あたしは、鬼?」
「あなたの幼馴染のレイも、鬼でしたよ。まぁ、あの子は気づいてたみたいですが。」
「あたしが、鬼…?じゃあ、悠は?鬼ではないよね。」
「あの人は、鬼ではありません。ただの人間ですよ。」
よかった、ただの人間で。
「鬼のあたしが、誰をたすけるの?」
「あなたが目を覚ましたとき、最初に見た人の所属している組織ですよ。」
「えっ、組織を助けるの?」
「……い。」
え、聞こえない。
「あ……たは、…す……うので…す。」
「え?ちょっと…!!あなたの名前は?!」
「涼です」
ただその声だけが、はっきりと聞こえた。
最初のコメントを投稿しよう!