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次の日、僕は約束通り、メガネさんと遊園地に行った。爽やかな晴天で湿度が低いせいか暑さは感じない。
夏の穏やかな風が気持ちいい。
僕は夕べのちっちゃいおじさんの話が妙に心にささっていた。
なんだか楽しめない。目立たないよう、慎ましく生きていたちっちゃいおじさん。なぜちっちゃくなってしまったんだろう?
メガネさんが絶叫マシンに乗ってキャーキャー騒いでいる。僕はそれを遠く感じていた。
やがて、僕のそんな気持ちが伝わってしまったのか、メガネさんもだんだんシラけた顔になっていく。
やばい。まずいぞ。
僕は自分に言い聞かせた。 テンションあげてこ。僕は振り切るようにはしゃいでみせた。
でも、ちょっとワザとらしかったようだ。メガネさんが不機嫌になっていくのが怖い。
昼時になって、メガネさんが作ってくれたオニギリを頬張りながら僕は正直に話すことにした。夕べのちっちゃいおじさんの話を…
「あのさ。夕べ、ちっちゃいおじさんの身の上話を聞いたんだ…」
「ちょっと待って。」メガネさんは僕の話を首を振りながら遮る。
「今日はちっちゃいおじさんの話をしないで。」
「え?なぜだい?」
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