ちっちゃいおじさん伝説

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それとも、何もない空間を指差してからかってるわけ?このクソ忙しいのに、の「ああ…はい。」なのか? わ、分からない。 寝そべっていた、ちっちゃいおじさんは起き上がると、急に走り出した。 意外と敏捷な動きだ。とてもおじさんとは思えない。 僕はメニューで顔を隠しながら、おじさんの動きを目で追った。 ちょっと派手なTシャツを着た若者の前に走り込んでいく。と若者の目の前の紅ショウガのフタを手に取り一生懸命持ち上げた。頭の上まで振り上げたところでバランスを崩しよろけている。 あ、あぶない。 おじさんはヨロヨロと酔っ払いのような千鳥足だ。しかし、なんとか踏みとどまったようだ。Tシャツ姿の若者が紅ショウガ用のトングを掴み紅ショウガを自分の丼へ注ぎ足した。 若者がトングを戻したところで、タイミングよく、おじさんがよろけつつも蓋をなんとか元の位置に戻す。 二カッと笑うおじさん。成功の喜びか? ほとんど偶然だったけどね。 見ていた僕もふ~とため息をつく。
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