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観察していると、おじさんは結構忙しそうに走り回っている。楊枝入れから楊枝を一本抜き取ってサラリーマンに手渡したり、お茶の入ったグラスを体全身で押し込み、隣の客のためのスペースを作ってあげたりと、額に汗を浮かべ働いている。
やることがなくなると、寝そべって休息を取っているようなのだ。ご苦労なことだ。
お客さん達はそんなおじさんに労をねぎらうでもなく、当たり前のように、ドンブリをかき込んでいる。
一体、どういうことなのだろう?他の客は見えていないのか?僕だけ?
「注文お決まりですか?」メガネさんが忙しそうにやってくる。
「ああ。えーと。並と豚汁ね。」僕は適当に答える。
おじさんが僕をチラッと見た。
えーと。おじさんが来たらなんと言えばいいのだろう?心臓がドクドクと波打つ。
「ハロー!」外人じゃないしなあ。
「忙しそうですね。」それも変か。
「並と豚汁、お待たせしました。」お。早いね。
僕は箸を取ろうと手を伸ばしかける。
そこへおじさんが走り込んできた。
きたー!
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