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時刻は丁度九時。私は彼が入ってこられるようにそっと窓を開ける。
心地よい風と共に私の横を黒い影が通った。
振り返ろうとした瞬間何かに抱きすくめられる…。
私はその“何か”が何なのかすぐにわかった。
「アレン…?」
「ジッとしていて。」
耳にアレンの指が触り、次の瞬間ピアスホールに何かが通る感触がした。
「なに?これ…。」
つけられたピアスに触れながら問いかけると顔を赤らめながら彼が答え始める。
「買った、薫に似合うと思って…。」
「ありがとう…」
自分の為に選んでくれたと思うと自然と口が緩んでしまい、どうしようもなくなる。
「こっち向いて?」
言われたままに振り向くと手を差し出すように言われた。
私は自分の手のひらに乗せられたものをみて驚く。
そこにはレッドダイヤモンドの首飾りが置いてあったのだ。
代々伝えられてきた大切なものだと言っていたのに…。
「こんな大切なものもらえないよ!」
「これは薫に持っていてもらいたい。」
…何故かアレンが何処かに行ってしまう、そんな気がした。
「大丈夫、俺はどこにもいかないよ…?」
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