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そう言って去っていく父。俺は内心ホッとしていた。帰りが遅い理由を聞かれないかヒヤヒヤしていたからだ。
足早にこの場を立ち去ろうとするとアーヴィンに引き止められる。
「あれ、兄さん夕飯は…?」
「悪いが今日は疲れたから早く寝たい。」
「そっか…おやすみ。」
ひらひらと手を振って返事をすると、自分の部屋に向かった。
自室に着くなりベッドに飛び込むとゴロリと寝返りをうって天井を見上げる。
ふと頭に浮かんだことは薫のこと…。
俺が初めて薫に会った時のことだ。彼女は土砂降りの雨のなか、公園でうずくまって泣いていた。
俺は最初、彼女の魂を喰らうつもりで近づいた。
けど、それは出来なかった。
俺は彼女の栗色の髪にココロを奪われてしまったのだ…。
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