無い笑い

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無い笑い

正義の槌にて、打ち砕かれた頭。 秩序の柵にて、放牧された心。 脱ぎ捨てた筈の抜け殻引き摺り歩き辛いね。 荷台に載せられる豚の行方。 墓前に添えられる摘まれた花。 命の拠り所は、言葉にすれば虚しいものね。 この眼前に広がる世界は、 頬を優しく撫でる風に覆われているかい。 感情に任せ吐き出した言葉、 何時まで纏わりつくつもりだ。 そうさ俺は一人。 美意識に壊された現実に俺は一人。 何も変わらない今日が記憶の中へ。 指をかじる、寂しさに震えた口。 伝わる痛みに存在が見える。 どうして、自分にはこんなにも伝えられるのに。 誰にも伝えられないのだろう。
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