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染められる声
ふと思い出される。
しまい込んでいた記憶。
もう「思い出」に、なってしまったんだね。
口下手な俺には何も。
こんなに愛しているんだと。
どう伝えれば良かったんだろうね。
いなくなった理由は聞かなかった。
何もかも俺が悪かっただけ、だったと。
出来るならもう、二度と君には会いたくないよ。
きっとまた、力いっぱい抱きしめたくなるから。
君は嫌がるし、そんな自分も許せないから。
だけど、今もこんなに言葉は溢れるよ。
全部手遅れ。
わかっているつもりなんだよ。
だけど諦めたはずの心が、待っている。
いなくなった理由は分かってる。
どうしようもない、君なら分かってくれるはずと信じていた。
今君が幸せなら、それを壊してでもなんて考えてしまう。
それで、「あの日の君」が帰ってくるはずもなくて。
大人になんてなりたくなかったよ。
だから、今もこんなに言葉は溢れるよ。
自分の色も持てない俺が、君を染められるわけもなかったね。
どんな言葉で洗い流しても、君の色を消えてくれないのに。
あの日も、あの日も、どんな色たちも。
あの日の君さえも幻だったの?
最初から俺だけが、染められた声で君を求めていたの?
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