キッカケ

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ボタンを押して上がってくるまでしばしの沈黙。 ハコが昇ってきて閉鎖された空間ではもっと空気が重たくなる。 チーフが気遣って話をふってくれる。 「叶さん、うちの課の水島、分かる?」 「え、えぇ。この前、顧客管理頼まれました。」 「そう、そう。こないだから君にちょっかいかけてるヤツなんだけど」 「ちょっかい、ですか。」 「ちょっかいだよ、周りから見れば一目瞭然なのに。で、ソイツなんだけど、今度、真面目に叶さん誘うみたいだから、お茶だけでもしてやってよ、いいヤツだよ。」 ・・・・なんか、泣きそう。 俯いて伏せた顔に気付かず、朗らかに笑う佐々木チーフ。 貴方だってよっぽど・・・。 「あ、あの!佐々木チーフも今度の飲み会いらっしゃいませんか?」 唐突すぎる申し出にチーフの笑顔が固まり、意味を理解するまで少し時間がかかった。
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